ことばと音

ことばと音についてかんじたことをことばであらわしています。"Utayomi", a poet of Japanese short poem, waka, writes about music and literature.

媾曳(あいびき)

朝(あした)あなたと見る夢の 甘さを想うの。

その腕に抱(いだ)かれて、すべてを熔かしたい。

指折って待ちわびた媾曳の夜。

この最後の砦は、たやすく崩れる。

 

そっと手折ってください。

折れてしまいやしないわ。

髪・指・瞳・脚、すべてを、重ねたい。

 

あなたの動かすその指に、息が、止まる。

 

やがてくる夜闇にまぎれ、もういちど。

吐く息は白いかしら。あたためあっても?

 

深く震えてください。

それでもわたしはうたうわ。

 

髪・指・瞳・脚、すべてを、重ねたい。

あなたの動かすその指に、息が、止まる。

 

あなたの降らすその白い雪。

息を止める。

 

 

三島由紀夫『春の雪』にインスピレーションを得て。二十一歳のときの作品です。)